2013年8月分の記事です

片頭痛に悩んだ文豪

皆さんは片頭痛の症状というと何を思い浮かべますか?
頭の片方だけ痛むことから片頭痛と呼ばれていますが、実はこれは正確ではありません。

片頭痛は必ずしも頭の片方だけに起きるものでは無く、症状は多彩です。

その頭痛の発作は前兆を伴う場合と伴わない場合があります。
よく言われる前兆は閃輝暗点と言い、これを克明に記した作家がおります。

それは芥川龍之介で、遺稿である「歯車」です。
私は閃輝暗点の症状を詳しく知らなかったのですが、歯車が見える場合がある
ことをこのことから知りました。

患者さんとの対話の中で、不思議な歯車のようなものの話が出たら
幻覚などではなく、片頭痛を疑ってみてもよいかも知れませんね。

~以下「歯車」より引用~

僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?―と云ふのは絶えずまはつてゐる半透明の歯車だつた。僕はかう云ふ経験を前にも何度か持ち合せてゐた。歯車は次第に数を殖(ふ)やし、半ば僕の視野を塞(ふさ)いでしまふ、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失(う)せる代りに今度は頭痛を感じはじめる、―それはいつも同じことだつた

藤波宏忠(イースト薬局)

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