市販薬で薬害をおこさないために
政府は、2013年6月初め一般用医薬品のネット販売を99%解禁することを決めました。例外は、安全性情報が評価がすんでいない25品目程度。
処方せん無しで買える一般用医薬品の安全性を保つために、4年前からリスクに応じて販売規制をおこなってきました。リスクが高い第1類・第2類は店舗で対面販売とし、購入者への情報提供を義務付けていました。
2013年1月、最高裁判所は、厚労省令で一律にネット販売を禁じることは違法と判断しました。これを受けた厚労省は検討会を開催し、11回の会議の結果5月31日報告書を出しました。報告書は、ネット販売の全面解禁と部分解禁の両論併記でしたが、政府はすぐに全面解禁の方向を出しました。
市販薬の副作用報告は年間約250例あり、2007~11年度の5年間で計24人が死亡しています。死亡例の半数が、かぜ薬によるものです。
市販薬は多く飲み過ぎて中毒になることよりも、アレルギーによる「中毒性表皮壊死症」などが問題です。アレルギー性の副作用を防止するには、食物や他薬による過敏反応がなかったかを聞き取ることと、重いアレルギーの前駆症状を教え、症状が起きたらすぐに救急受診するよう指導することが大切です。
購入者から聞き取ったことが十分だったか、薬局の窓口でも悩むことです。対面販売であれば大丈夫というわけではありません。体調を崩した方が適切な治療を受けられる、地域医療の充実がなければ副作用被害は防げません。
薬の使い方で心配なことは、遠慮せず薬剤師にご相談ください。
【参考】
医療と福祉 協同組合ニュース 2013年6月号 P.8
http://www.yuiyuidori.net/iryou-fukusi/kumiaiho/2013/123/123_09_03.html
藤竿伊知郎(外苑企画商事)