介護予防と薬
「年をとっても健康に過ごしたい」と誰もが望んでいます。介護のお世話にならなくてすむように、高齢者にとっての薬の注意点を紹介します。
年齢とともに、薬を排泄する力が衰えます。このため、薬の作用は長引き、副作用が起こる危険性は若年者の倍以上に高まります。また、体の中の水分量が少なくなっていることから、発熱など体調の変化によって副作用が急にあらわれます。今までずっと飲んでいて大丈夫だった薬でも安心はできません。
人によっては風邪薬を飲んだだけでも、おしっこが出にくくなったり、ふらつき、錯乱など重い副作用が出ることがあります。高齢者は1回に飲む量を減らして調整することが必要です。介護を必要とするようになる原因として、動脈硬化による脳の血管障害と骨粗鬆(こつそしょう)症による骨折の2つが大きな割合をしめます。予防には、若いときからの健康管理が大切です。脳梗塞(のうこうそく)・脳出血・認知症の原因となる血管障害は、①高血圧、②糖尿病、③高脂血症によって引きおこされます。壮年期にきちんと治療しておくことが大切です。
骨がもろくなり、転んだだけでも骨折するようになると、寝たきりにつながります。骨を強くするには、10~20代にしっかりカルシウムをとって骨を強くしておくことが大切です。高齢になってあわててカルシウムの摂取を増やしても間に合いません。転んで骨折するきっかけとして、睡眠薬によるふらつきに注意してください。不眠を訴える方が多いのですが、服用を早くしすぎないこと、室内の段差を改善するなど対策をとることが必要です。
気になることがありましたら、薬剤師にお気軽に相談ください。
藤竿伊知郎(流山市薬剤師会)