竜と薬の関係
古来より日本や中国では、竜というと水神として崇められてきました。例えば寺社や神社にある竜の彫刻は、水を司る竜を火難防止の意味で取り入れています。
さて、数ある漢方薬の中でも有名な小青竜湯は、名前に『竜』が使われていますが、どのような意味があるのでしょうか。
まず小青竜湯の『小』は大小の小です。大柴胡湯・小柴胡湯、大建中湯・小建中湯と同じように、大青竜湯と使い分けて用いられています。
次に『青竜』ですが、これは陰陽五行思想と関連した四神相応から取られています。朱雀・白虎・青龍・玄武のことですが、ご存じでしょうか。
青春時代などと言いますが、これは四神相応の青春・赤夏・白秋・黒冬のうち青春だけ有名になっています。
(余談ですが、玄=黒です。玄人をくろうとと読みますよね。)
青龍は東の方位の守護神であり、青春の言葉通り春を司ります。そして水神として水を意味しています。
このことを総合すると、『青竜』の名が意味する薬は、春に効く水の病を治す薬と解るかと思います。
小青竜湯は花粉症・鼻水のような春特有の水の病によく使われますし、胃酸過多や腎臓病の浮腫の補助薬などとしても活躍します。その他、ひざに水が溜まっている時に用いられたりと、その名の意味する通りの活躍をしていますね。
漢方薬は番号で覚える方も多いかと思いますが、それぞれ名前に意味があることも多いので、調べてみると面白いですよ。
藤波宏忠(イースト薬局)